問題の本質は、豊胸手術そのものではなかった。人々が怒りを覚えたのは、自社プロデュースの商品を売るために「自力で胸を大きくした」というストーリーを捏造した点にある。憧れの存在が語る「ナイトブラのおかげ」という言葉を信じ、小遣いをはたいた若者たちの絶望。それは、個人のコンプレックスを巧みに刺激する商業主義の闇を浮き彫りにした。医療の力を借りることは悪ではない。だが、それを隠して「努力の成果」として販売する行為は、明確な欺瞞であった。
この事件以降、消費者の目は劇的に肥えた。「このインフルエンサーの体型は本物か、それとも医療の力か」を冷徹に見極めるリテラシーが、ユーザー側に急速に育っていったのだ。