彼のキャリアを語る上で決して外すことができない原点が、幼少期に出演した映画『トウキョウソナタ』だ。日本映画界を代表する巨匠・黒沢清監督に見出された才能は、当時から異彩を放っていた。ピアノの才能を開花させていく少年役を演じた彼は、家族の崩壊と再生を描いた重厚なドラマの中で、作品の希望となる美しい光を放っていた。
この作品での経験が、役者としての根幹を形作ったことは疑いようがない。黒沢清監督との現場で培われた「フレームの中でどう生きるか」という客観的な視点と現場感覚。それが、現在の彼の地に足の着いた演技スタイルへとつながっている。早熟な天才子役にとどまらず、大人になった現在も着実に才能を解き放ち続けている背景には、幼い頃に培われた揺るぎない映画的リアリティが存在する。