消防士が火中に飛び込んでも活動できる最大の理由は、防火衣に採用されている多層構造(レイヤー構造)にあります。一般的な防火衣は、外側から「表地」「遮熱・透湿防水層」「裏地(断熱層)」の3〜4層で構成されており、それぞれが異なる役割を担っています。
外側の表地には、熱に極めて強いメタ系アラミド繊維やパラ系アラミド繊維、PBI(ポリベンゾイミダゾール)などのスーパー繊維が織り込まれています。表地自体の耐熱温度は約500℃に達し、瞬間的な高熱火炎に晒されても溶融して皮膚に張り付くことがありません。中間層が炎の熱気や有害ガスの侵入を遮断しつつ内部の汗を外へ逃がし、裏地が空気層を保持して熱伝導を大幅に遅らせることで、外気が数百℃に達する過酷な空間でも隊員の身体を守り抜きます。