2002年、日本のテレビ界に激震が走った。アイフルのCMである。それまでサラ金、消費者金融の広告といえば、どこか陰のあるイメージや、あるいは極端に明るいダンスでごまかすようなものが主流だった。そこへ登場したのが、手のひらサイズのチワワだった。清水章吾演じる実直な父親が、ペットショップの窓越しにチワワと見つめ合う。ただそれだけの演出が、日本中を虜にした。
ペットショップにはチワワを求める客が殺到し、取引価格は跳ね上がった。清水自身も、それまでの地道な脇役俳優から、一躍「時の人」へ。広告批評家たちは、このCMが持つ「弱さ」と「癒やし」の記号性をこぞって分析した。バブル崩壊後の長い不況にあえぐ日本人の心に、あの中年男性と小動物の組み合わせが、奇跡的なフィット感を見せたのだ。