この空前のムーブメントは一朝一夕で築かれたものではない。日本の氷文化が単なる納涼から洗練された食文化へと昇華した背景には、著名人の発信や専門機関の地道な活動がある。なかでも女優の蒼井優氏が書籍や各種メディアで披露した並々ならぬ「かき氷愛」は、カルチャーとしての魅力を広く一般に浸透させる大きな足がかりとなった。彼女のこだわり抜いた視点は、味覚だけでなく店の空気感や情緒的な価値に光を当てるきっかけを作ったと言える。
同時に、一般社団法人日本かき氷協会などの組織が果たす役割も大きい。同協会はイベントの開催や正しい知識の普及を通じ、製氷技術や削りの質の向上を支援してきた。かき氷が年間を通じて楽しめるプレミアムなスイーツとして定着したことで、店舗側も長期的投資として空間デザインに資金を投じることが可能になり、質の高い内装空間が生まれる好循環が完成したのだ。