ネット上の掲示板やSNSでは定期的に「メルカリが転売品を全品出品禁止にするらしい」「高額転売アカウントが一斉凍結された」といった噂が拡散される。しかし、二次流通プラットフォームの実態を綿密に追っていくと、そこには一般に誤解されがちな実情とビジネスモデル上の構造的なジレンマが横たわっている。
大手フリマアプリ各社は現在、特定メーカーとの包括連携協定を締結し、発売前の事前予約品の出品削除や、知的財産権・肖像権侵害にあたる商品の取り下げを強化している。さらに2026年以降は、公的身分証を用いた本人確認(eKYC)の義務付け範囲を大幅に拡大した。だが、「定価より高い価格での出品」そのものをシステムで機械的に一律禁止しているわけではない。フリマアプリはあくまで個人間の自由な売買を仲介する場であり、市場価格の決定に行政機関でもない一私企業が過度に介入することは、独占禁止法や取引の公平性の観点から極めて慎重な判断を要するためだ。
そうしたなか、2026年後半から2026年にかけてSNSを席巻しているのが「転売ヤー爆死」の報告だ。このからくりの正体は、メーカーによる「予告なき大量再販」と「受注生産への切り替え」というカウンター攻撃にある。限定品と銘打たれた商品を買い占め、倉庫や自宅に山積みにしてプレミア価格での売り抜けを図っていた転売ヤーに対し、メーカーが「数ヶ月後の完全受注再販」を突然アナウンスする事例が相次いだ。
再販告知が出た瞬間、二次流通市場の相場は定価以下へと暴落する。転売ヤーの手元に残るのは、販売手数料(通常10%)や梱包資材代、高騰する宅配便送料、さらには在庫の保管コストとクレジットカードの支払期限だけだ。資金繰りに行き詰まり、定価を大きく割り込む赤字価格で一斉に損切り出品せざるを得なくなる現象が各地で頻発。力任せに買い占めた投機マネーが自滅する構造が、メーカー側の戦略的供給によって現実に引き起こされている。