「スペイン人は毎日シエスタを取っている」というイメージは、現代の都市部においては実態と乖離しつつあります。
マドリードやバルセロナなどの大都市圏では、郊外から市内へ長時間通勤するオフィスワーカーが増加しました。往復の移動時間を考慮すると、昼休みに一度帰宅してシエスタを取ることは物理的に不可能です。また、商業施設やオフィスビルにエアコンが完備されたことで、猛暑を避けるために業務をストップする必要性も薄れました。
さらに、EU諸国との商取引を円滑化するため、昼休みを1時間程度に短縮して夕方早く退勤する「通し勤務(ホルナダ・コンティヌア)」を採用する企業が急増しています。2010年代以降、スペイン政府内でも「シエスタ廃止および標準労働時間の欧州標準化(午後6時終業)」を巡る法改正の議論が度々行われてきました。
スペインの各種社会調査によると、現代スペインにおいて平日に毎日シエスタを取っている人の割合は約15〜18%程度にとどまっています。その大半は高齢者や自営業者、農業従事者、地方都市の住民です。現地の多くの会社員にとって、シエスタは「週末やバカンス期間に楽しむ特別なリフレッシュ法」へとシフトしています。