嬉野温泉駅の構内に足を踏み入れると、誰もがその温もりのある木素材の活用に目を奪われる。デザインを手掛けたのは、数々の名列車を生み出してきた水戸岡鋭治氏だ。地元の素材や伝統的なデザインを惜しみなく取り入れた内装は、駅そのものを一つの美術館へと昇華させている。
佐賀県産の杉材を贅沢に配したコンコースや待合室は、移動の合間のわずかな時間すら豊かな体験へと変えてしまう。乗降客を迎える温もりあふれる照明、繊細な木格子、そして細部までこだわり抜かれた家具。デザインの力が地域のアイデンティティを際立たせ、旅の期待感を高めてくれる。