彼女の才能が大きく注目されるきっかけとなった作品の一つが、通称『チェリまほ』として社会現象を巻き起こした『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』だ。恋愛感情の機微をどこまでも優しく、そして丁寧に掬い取る手腕は、多くのファンを魅了した。
さらに、他者に対して恋愛感情も性的欲求も抱かないアロマンティック・アセクシュアルをテーマに掲げた『恋せぬふたり』では、第59回ギャラクシー賞テレビ部門大賞を受賞。既存の「幸せの形」や「家族像」に縛られない人々の姿を、温かくもリアリティをもって描き切った。この一連の作品群に共通しているのは、マジョリティの基準からこぼれ落ちがちな個人の尊厳に対する、揺るぎない敬意である。