「馬は人間の心の揺れを敏感に察知します。自分が焦ったり不安になったりすると、それがそのまま馬に伝わってしまう」――主将はそう語る。一般的な球技や陸上競技と異なり、馬術は意思を持った「生き物」がパートナーとなる唯一の競技だ。言葉が通じない相手と心を通わせるために必要なのは、日々の泥臭いコミュニケーションにほかならない。
明治大学馬術部の強さの秘密は、徹底した「一馬一感」の精神にある。馬の機嫌や踏み込みの軽さ、耳の動きひとつで見抜く洞察力を養うこと。他校が羨む圧倒的な強さは、才能や設備の充実だけではなく、馬に対する深い敬意と無償の献身が生み出す絆によって支えられているのだ。