退職と「お暇(おいとま)」の間には、似ているようで決定的な違いがある。
従来の退職が「次のキャリアへのステップアップ」や「職場への不満による完全な離脱」を意味していたのに対し、現代の労働者が求めるおいとまは、もっと柔軟で曖昧だ。転職先を決めずに会社を辞め、半年から1年ほどの期間、意図的に「無職」の期間を作る。あるいは、社内の休職制度を最大限に活用して地方に身を寄せる。
「次の予定を聞かれても『何も決めていません』と答えるのが、最初は怖かった」と語るのは、都内の大手広告代理店を今年1月に離職した30代の男性だ。「でも、スケジュール帳が真っ白になった瞬間、数年ぶりに深呼吸ができた気がしたんです」。