サンボマスターの『できっこないをやらなくちゃ』の歌詞を深く読み解くと、山口隆ならではの緻密な心理描写と人間愛が浮かび上がってきます。
サビで繰り返される「あきらめないで どんな時も 君ならできるんだ どんな事も」というフレーズは、一見するとシンプルな励ましに見えるかもしれません。しかし、その直前には必ず「誰かが君のことを笑ったとしても」「心折れそうな夜」といった過酷なシチュエーションが描かれています。つまりこの曲は、「世界中が敵に回っても、俺たちだけはお前の味方だ」という連帯の宣言なのです。
山口隆が発信し続けるメッセージの根底には、「完全無欠のヒーローになれ」という要求ではなく、「泥にまみれ、みっともなくあがく姿こそが美しい」という価値観が存在します。「できっこない」と周囲から決めつけられ、自分自身すら信じられなくなった瞬間に差し伸べられるこの強烈な肯定感こそが、リスナーにとっての救いとなっています。