この完成されたプロダクトの起源は、1910年の米国に遡る。発明家ルイス・E・ボルツリー(Louis E. Baltzley)が、特許弁護士だった父の膨大な手稿を傷つけずに束ねるために考案したのが始まりだ。当時主流だった針金による穴あけ式綴じ具と異なり、紙に一切のダメージを与えずに数十枚から百枚以上を強固にホールドする機構は、瞬く間に世界標準となった。
三角形の板バネ鋼と、てこの原理を応用した2本の可倒式ワイヤーハンドル。構成パーツはわずか3点に過ぎない。誕生から一世紀以上が経過しても基本設計が一切変わっていないという事実は、ボルツリーの発明がいかに力学的極致に達していたかを雄弁に物語る。一度掴んだら離さない強靭なグリップ力と、レバーを倒せばフラットになる省スペース性。これこそが、時代を超えて愛される普遍の理由だ。