都市の中で出会う緑の深みに触れたとき、私達は日本の庭園文化が持つ歴史の重みに思いを馳せることになる。殊に、明治から昭和初期にかけて活躍した近代日本庭園の巨匠、七代目・小川治兵衛(植治)の作品群は、現代人の疲れた心に鮮烈な印象を与える。
小川治兵衛は、琵琶湖疏水の水流を豪快に引き込んだ流水式庭園を数多く手掛け、自然の躍動感をそのまま空間に閉じ込めた。従来の様式美にとらわれず、借景と躍動する水音を融合させた彼の日本庭園は、百余年の時を経た今も色あせない。コンクリートに囲まれた現代都市において、こうした歴史的名園が放つ圧倒的な生命力は、日常のストレスを一瞬で吹き飛ばすほどのエネルギーを宿している。