忘れてはならないのが、東都大学大学院工学部博士課程の学生「沖矢昴」としての姿だ。阿笠博士の発明品である変声機と、有希子のメイク技術によって生まれたこの仮初めの姿。赤い首とっくり(ハイネック)で喉元の変声機を隠し、工藤邸で静かに暮らす日々。一見すると料理好きの心優しい青年だが、眼鏡の奥に光る鋭い眼光は隠しきれない。
映画の中で、沖矢から赤井へと一瞬で「覚醒」する瞬間。あのアドレナリンが吹き出すようなカタルシスは、劇場版ならではの演出だ。沖矢昴としてコナンをサポートしつつ、裏でFBIを動かす司令塔としての手腕。この二面性こそが、女性層を中心とした熱烈なファンを惹きつけて離さないトラップなのだ。