実写版の説得力を支えたのは、世界各地を舞台にした大規模なロケーション撮影と美術設計だ。現代の映画産業が総力を挙げたその制作プロセスには、アラジンという作品の本質が如実に表れている。
砂漠の逃走劇や広大な自然描写のロケ地として選ばれたのは、映画『アラビアのロレンス』でも有名なヨルダンの「ワディ・ラム」保護区だった。赤く切り立った砂岩の岩壁と果てしない砂の海は、スタジオセットでは決して出せない荘厳なリアリティを映像に与えた。
一方で、アグラバー市街地の大規模セットはロンドン近郊のスタジオに建設され、中東のバザールやインドの色彩豊かなファブリック、トルコのタイル装飾が惜しみなく投入された。この徹底した視覚的ハイブリッドによって、特定の国境を軽やかに無効化し、観客を夢の異世界へと没入させる魔法が完成したのである。