脂漏性皮膚炎と診断された患者が陥りがちな最大のトラップが、「脂漏性=皮脂が多いから徹底的に脱脂しなければならない」という思い込みです。薬局で売られている強力な高級アルコール系メンズスカルプシャンプーやメントール系シャンプーで1日に2回も3回も洗髪する行為は、火に油を注ぐようなものです。
過度な脱脂を行うと、頭皮を保護している角質細胞間脂質や天然保湿因子(NMF)まで根こそぎ流出します。皮膚は急激な乾燥の危機を感知し、失われたバリアを補おうと防衛反応として以前より大量の皮脂を分泌するというリバウンド現象を引き起こします。この過剰分泌された皮脂が酸化し、マラセチア菌によって分解されることで、独特の「酸化した油のような嫌な頭皮の臭い」が発生するのです。
また、かゆみが我慢できない瞬間に爪を立てて熱いお湯で流す行為も厳禁です。40度以上のお湯は頭皮の脂質を過剰に奪うだけでなく、かゆみ伝達物質であるヒスタミンの遊離を促進します。洗髪は38度前後のぬるま湯を使い、指の腹で頭皮を優しく揉み洗いすることが鉄則です。