エレキグラム解散時、失意の底にいた後藤の目に飛び込んできたのが、同じくbaseよしもとで活動しながらも解散したばかりのコンビ「ドレス」の岩尾望でした。当時の岩尾は若手屈指のボケセンスを誇り、舞台上で異彩を放ちまくっていたスター候補生でした。
後藤は「この男のボケに自分の鋭いツッコミを掛け合わせれば、絶対に天下が取れる」と確信します。しかし、当時すでに実績の高かった岩尾に対し、解散直後で実績の乏しかった後藤は必死でした。後藤はプライドをかなぐり捨てて足繁く岩尾のもとへ通い詰め、「俺と組んでくれ」と猛烈なラブコールを送り続けたのです。1999年に晴れて「フットボールアワー」を結成すると、その目論見は見事に結実します。
シャープでスマートなイケメン風情の後藤が、規格外のビジュアルと圧倒的な脱力系ボケを繰り出す岩尾を力技でさばく凸凹コンビの構図は、瞬く間に劇場を席巻。結成からわずか4年後の2003年、第3回『M-1グランプリ』で圧倒的な得票差をつけて優勝を飾りました。研ぎ澄まされた刃のような後藤のツッコミは、岩尾という唯一無二の相方を得たことで、自滅的な「尖り」から「最高峰のエンターテインメント」へと昇華されたのです。