ネット社会学およびコミュニケーション心理学の観点からこの現象を紐解くと、スラングが辿る必然的なライフサイクルが浮かび上がります。
言語学において、仲間内だけで通じる符丁(隠語)は、集団の「内と外」を分かつ心理的境界線(バウンダリー)として機能します。かつて2ちゃんねる住民が「神」をわざわざ「ネ申」と崩して書いたのは、テレビや一般社会の言葉遣いとは一線を画す「ネット民としてのアイデンティティ」を確認し合うための無意識の儀式でした。
しかし、その言葉が『AKB48 ネ申テレビ』のようにマスメディアに拾い上げられ、大衆化すると、内輪の符丁としての排他性は失われます。そして大衆化の波が去った後には、廃れるのではなく「あの時代のカルチャーを指し示す固定シンボル」として歴史に刻まれることになります。
「ネ申」を使って良い場面・慎重になるべき場面の判断基準
言葉の持つニュアンスと歴史を踏まえ、現代のコミュニケーションにおける適切な使い分けの基準を提示します。
【違和感なく受け入れられる場面】
・ゼロ年代のネット文化やオタクカルチャーをテーマにした雑談
・加藤純一氏界隈など、「ねもうす」文化が共有されている特定の配信コミュニティ
・パロディやレトロ感を意図的に狙ったコンテンツの企画・見出し
【使用を避けるべき慎重な場面】
・ビジネスチャットやフォーマルなビジネスメール全般(砕けすぎ・不真面目な印象を与える)
・トレンドに敏感な10代〜20代前半との一般的な日常会話(時代遅れ感・違和感を生む懸念)
・純粋に深い感謝や敬意を伝えたい公の場(皮肉や茶化しと誤解されるリスク)