メンテナンスカロリー計算の真実|絶食不要で体型を維持する最新手法

メンテナンスカロリー計算の真実|絶食不要で体型を維持する最新手法

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食事制限を開始した直後は順調に体重が落ちたものの、数週間でぴたりと数値が動かなくなり、空腹の限界を迎えてドカ食いし、以前より体脂肪が増えてしまった――この悪循環に陥る決定的な理由は、本人の意志の弱さではありません。人体の精巧な生存防御システムである「代謝適応(Adaptive Thermogenesis)」を無視して食事を削りすぎたことにあります。

人間の体は、摂取エネルギーが生命活動の維持に必要な水準を大きく下回ると、飢餓状態を察知して省エネモードへと移行します。甲状腺ホルモン(T3)の分泌低下や交感神経活動の抑制が起こり、日常的な微細運動(貧乏揺すり、姿勢保持、歩行スピードなど)によるエネルギー消費が無意識に切り詰められます。つまり、「食べない」という選択そのものが、自ら消費カロリーの蛇口を固く閉ざす引き金になっているのです。

ここで極めて重要になる概念が、生命維持のための基礎代謝計算(BMR)と、日常生活や運動を含めた1日の総消費エネルギー量であるTDEE計算(Total Daily Energy Expenditure)の峻別です。基礎代謝は横たわって何もしなくても内臓や脳が消費するエネルギーであり、一般的な成人女性で約1,100〜1,300kcal、成人男性で約1,400〜1,700kcal程度に過ぎません。一方、そこに仕事や家事、歩行などの活動量を掛け合わせたものがTDEEであり、この数値こそが「体重が増えも減りもしない維持エネルギー=メンテナンスカロリー」となります。

メンテナンスカロリーという「基準のゼロ点」を知らないまま闇雲にカロリーを削る行為は、現在地も目的地の距離も分からずにアクセルを踏み込むようなものです。持続可能なボディメイクを成立させるためには、まず自らのメンテナンスカロリーを数学的・生理学的に算定することから始めなければなりません。

山下 哲也
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山下 哲也

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。