生活者にとって最も身近な疑問の一つが、「なぜ九州電力と九州電力送配電に分かれているのか」という点です。その背景には、国の電力システム改革に伴う九州電力の発送電分離の経緯が存在します。
かつて大手電力会社(旧一般電気事業者)は、発電・送配電・小売の3部門を1社で独占的に運営していました。しかし、2016年の電力小売全面自由化を機に新電力各社が参入するなか、送配電網を持つ大手電力が自社の発電・小売部門を優遇するのではないかという懸念が生じました。そこで、すべての電力会社が公平・中立に電線(送配電網)を利用できるようにするため、2026年4月に送配電部門の法的分離が義務付けられ、九州電力送配電株式会社が誕生したのです。
現在、九州電力(親会社)は主に発電事業および電力小売事業を担い、九州電力送配電は中立的な立場で以下の基盤業務を専門に行っています。
- 送配電設備の保守・運用:九州全域(福岡・佐賀・長崎・大分・熊本・宮崎・鹿児島)の電柱・送電線・変電所の維持管理および災害復旧。
- 需給バランスの調整(系統運用):エリア全体の電気の需要と供給を1秒単位で一致させ、周波数(60Hz)の乱れによる大規模停電(ブラックアウト)を防止。
- 計量・接続業務:各家庭や事業所の九州電力送配電のスマートメーター交換作業、および発電事業者からの九電送配電への系統連系申請の受付・審査。
- 託送供給業務:新電力会社を含むすべての小売電気事業者から九州電力送配電の託送料金を徴収し、送配電網の利用を公平に提供。