テキストとして始まったロック訳のムーブメントは、やがて般若心経のロックアレンジ音楽という新たなカルチャーへ発展しました。ニコニコ動画やYouTubeでは、初音ミクをはじめとするボーカロイドを用いた高速メタル調の楽曲や、生バンドによるエモーショナルなパンク・ナンバーが次々と制作されています。
さらに、本職の僧侶がギターを抱えて歌うアコースティック編成の動画や、TikTokでショート音源としてバイラルヒットする事例も相次ぎました。重厚なドラムビートと歪んだギターサウンドに乗せて「ギャーテーギャーテー」とサンスクリット語の呪文(マントラ)がシャウトされる様は、まさに現代の「音楽法話」と呼べる熱狂を生み出しています。
2500年前に生まれた古代インドの哲学が、ネット掲示板の言葉遊びとロックミュージックを媒介にして、令和の時代にも全く色褪せない救いのエネルギーを放ち続けています。