保毛尾田保毛男が初めて世に登場したのは、1989年に放送された『とんねるずのみなさんのおかげです』内のコーナードラマ「仮面ノリダー」のワンシーンでした。濃い青ひげに真っ赤な唇、ピンク色の頬紅を丸く塗った強烈なメイクを施し、語尾に「〜でホモ」「〜なのねん」と独特のイントネーションを交えて話すキャラクター造形は、瞬く間にお茶の間の爆笑をさらいました。
キャラクターの元ネタや誕生の背景には、当時フジテレビの制作現場に出入りしていたスタッフの風貌や言動を誇張したパロディという側面がありました。とんねるずのみなさんのおかげでしたのキャラ群の中でも、木梨憲武さん演じる「木梨憲三郎」や「ノリ子」と並ぶ看板キャラクターへと成長し、単独でCMキャラクターに起用されるなど、1990年代前半のポップカルチャーを象徴する存在となったのです。
しかし、その笑いの構造は「同性愛者を奇異な存在として戯画化し、嘲笑の対象にする」という前提の上に成り立っていました。当時は性的マイノリティに対する社会的な認知や人権意識が極めて未成熟であり、バラエティ表現の過激さがそのまま許容されていた時代背景があったことも見逃せません。