剪定バサミを手にしたとき、多くの人が「どの枝を切れば良いのか」と立ち尽くします。柑橘類の剪定手技は大きく分けて「間引き剪定(透かし剪定)」と「切り戻し剪定」の2種類しかありません。この使い分けを理解すれば、失敗の確率は劇的に下がります。
成木における基本方針は、枝の根元から完全に切り取る「間引き剪定を8割、切り戻しを2割」に留めることです。
【優先して根元から切り落とすべき不要枝のチェックリスト】
- 徒長枝(とちょうし):幹や太い枝から真上に向かって勢いよく直立して伸びる太い枝。養分を過剰に吸い上げる割に花芽がつかないため、発生初期または2〜3月の主剪定で枝の付け根から完全に切除します。
- 内向枝(ないこうし):樹冠の内側(幹の中心方向)に向かって伸びる枝。日当たりと風通しを著しく悪化させます。
- 交差枝(こうさし)/平行枝(へいこうし):他の枝と擦れ合っている枝や、上下で完全に重なって影を作っている枝の片方を間引きます。
- 下垂枝(かすいし)/ひこばえ:地面近くまで垂れ下がった枝や、地際・台木から生えてくる芽は病害虫の進入経路になるため切除します。
- 枯れ枝・病害虫被害枝:見つけ次第、健康な組織の境界部分まで切り戻します。
一方、枝の長さを途中で切る「切り戻し剪定」は、樹形をコンパクトに抑えたい場合や、幼木の骨格を太らせたい場合にのみ行います。その際は、「外側を向いている芽(外芽)の5ミリ程度上」で、芽の傾きに合わせて斜めに刃を入れます。内芽の上で切ってしまうと、次に伸びる枝が木の内側に向かって伸び、日照を遮る悪循環に陥るためです。
また、作業時に忘れずに行いたいのが「鋭いトゲの処理」です。レモンの幼木や強い枝には硬く鋭利なトゲが発生します。このトゲは強風時に葉や果実を傷つけ、そこから「かいよう病」などの細菌病が侵入する主因になります。トゲは剪定バサミで根元からパチンと切り落としても樹勢や開花に全く悪影響はありません。作業者の安全確保と果実保護のため、見つけ次第すべて切除するのがプロの常識です。