日本国内で「ヌーヴォー」という語が最も浸透したきっかけは、間違いなくフランス・ブルゴーニュ地方のボジョレー地区で造られる新酒ワイン「ボジョレー・ヌーヴォー(Beaujolais Nouveau)」の存在だ。ここで使われるヌーヴォーは、文字通り「当年産の新酒」を意味している。
原料には黒ブドウ品種の「ガメイ」が100%使われ、収穫直後のブドウを密閉タンクに詰めて炭酸ガスを発生させる「マセラシオン・カルボニック(炭酸ガス浸漬法)」と呼ばれる特殊な製法を採用。渋み(タンニン)が少なく、イチゴやバナナのような華やかでフレッシュな香りと軽快な口当たりが生み出される。まさにその年のブドウの出来栄えをいち早く確認するための祝い酒としての役割を担ってきた。
世界的なルールとして知られるボジョレー・ヌーヴォーの解禁日は「毎年11月の第3木曜日午前0時」と定められている。日付変更線の関係から、日本は本国フランスよりも早く木曜日の未明を迎えるため、「本場より早く飲める国」として一大ブームを築いた。現在のマーケットでは単なるお祭り騒ぎから成熟した季節行事へとシフトし、環境負荷を抑えたサステナブルな輸送方法や、有機栽培(ビオロジック)による高品質なヌーヴォーが選ばれる傾向が顕著になっている。