この重厚な建物の設計を手掛けたのは、日本モダニズム建築のパイオニアである前川國男だ。1964年に竣工した本館ビルは、打ち放しコンクリートの意匠や、通りからシームレスに店内へと誘うピロティ構造が特徴的である。街に対して開かれたそのオープンな設計は、当時の商業建築の常識を打ち破る革新的な試みだった。
昭和の高度経済成長期から新宿の変貌を見守り続けてきたこの建造物は、日本の現代建築史においても極めて重要な資産だ。その卓越した意匠と文化的価値が認められ、東京都選定歴史的建造物にも指定されている。幾度かのリニューアルを経てもなお、前川が意図した「人々が集い、交流する広場」としての空間構造は脈々と受け継がれており、壁面の質感や照明の陰影にいたるまで建築美としての見ごたえに満ちている。