連日猛暑が続く近年の日本において、この家のポテンシャルは意外な形で証明されている。土には高い「熱容量」がある。昼間の強い日差しを土壁が吸収し、夜間にゆっくりと熱を放出するため、室内の温度変化が極めて緩やかになるのだ。エアコンに依存しすぎない暮らしが、そこには実現していた。
一方で、日本の高温多湿な気候ならではの課題も浮き彫りになった。コンクリートのように完全に密閉された空間ではないため、梅雨時期の湿度管理には相応の工夫が必要となる。自然素材ゆえの「呼吸する壁」は、快適さをもたらす一方で、住まい手側のこまめなケアを要求する性質も持ち合わせている。