なぜ、これほどまでに明白な経歴の矛盾が長年にわたって見過ごされてきたのか。そこには、メジャーリーグベースボールを取り巻くスポーツマネジメント現場の「過度な人間関係への依存」が存在する。
選手個人が直接雇用する通訳やプライベートアシスタントの採用において、第三者機関による厳密なバックグラウンドチェック(身元・経歴照会)が省略される傾向があった。スター選手の強い信頼を得ている人物に対して、敢えて学歴証明書や前職の雇用証明を求める者がいなかったのだ。この制度的盲点こそが、虚飾に満ちた人物像を放置させ、巨額の資金流用という破滅的な結末へと導く要因となった。