気候の急変は、人間だけの問題にとどまらない。奈良の象徴である奈良公園の天然記念物「神鹿(しんろく)」たちや、千年の時を耐え抜いてきた木造建築物にも深刻な影を落としている。
猛暑が続く夏季、公園内の日陰や池の周りには、暑さに耐えかねた鹿の大群が押し寄せる。地元ボランティアや保護団体は、熱中症で動けなくなる個体の救護に追われる日々だ。水場の維持や給水設備の増設など、これまでには見られなかった緊急対策が矢継ぎ早に講じられている。一方で、木造寺社を直撃する局地的なゲリラ豪雨や落雷の恐怖も増大した。木材の湿気による腐食や、落雷による火災リスクの急増に対し、保存修復の現場では最先端の気象センサー導入が進む。