向井亜紀さんの病気の歴史を語る上で欠かせないのが、2000年9月に判明した子宮頸がんの告知です。当時35歳だった向井さんは、夫の高田延彦さんとの間に念願の第一子を授かり、幸せの絶頂にありました。しかし、妊娠初期の定期検診で進行性のがんが発見され、医師から突きつけられた現実はあまりにも過酷なものでした。
告げられた病名は子宮頸がんの中でも進行が速いとされるタイプであり、母体の命を守るためには妊娠の継続を諦め、子宮を全摘出する緊急手術が不可避という診断でした。子どもを切望していた向井さんにとって、それは自らの命と引き換えに我が子とお別れしなければならないという、筆舌に尽くしがたい苦渋の選択でした。
同年11月、向井さんは広汎子宮全摘出手術を受け、病巣の切除に踏み切りました。しかし試練はそれだけにとどまらず、手術後の病理検査の結果、がん細胞のリンパ節転移が認められたため、過酷な抗がん剤治療と放射線治療という追加の闘病生活へと突入することになりました。