この重厚な作品の舵を取ったのは、イギリス映画界の異才リンゼイ・アンダーソン監督だ。フリー・シネマ運動の主導者として知られる彼のアプローチは、大作至上主義に偏重しがちだった当時のハリウッドのスタイルとは一線を画していた。
かつてメトロ・ゴールドウィン・メイヤーなどの大手スタジオが形作ったスタジオシステムの伝統と、ヨーロッパ的な繊細な作家性の融合がここにある。リンゼイ・アンダーソンは二人の大女優が持つカリスマ性を極限まで引き出しつつ、メイン州の厳しい自然の美しさをそのまま映像に焼き付けることに成功した。