長年、アニメファンや業界関係者の間で噂されてきた性的不祥事や不正なキャスティング。結論から言えば、現代において映画やテレビドラマのような露骨な対価型セクハラが日常的に横行しているわけではない。しかし、過去には「特定のプロデューサーや音響監督に気に入られなければ役がもらえない」という暗黙の了解が存在したことも事実だ。
近年の関係者による最新の内部告発や調査報道によって明らかになりつつあるのは、物理的な関係の強要というよりも、不透明な接待や個人的な距離の近さが配役に影響を与える「グレーゾーンの贔屓(ひいき)」だ。ある中堅音響制作関係者は「決定権を持つ人物への過度なアピールや、個人的な会食への参加がオーディションの可否を左右した時代は確かにあった」と明かす。コンプライアンス意識の高まりとともに露骨な取引は影を潜めたものの、選考プロセスのブラックボックス化が疑念を生む土壌であり続けている。