SNSや大手レシピサイト、ネット掲示板を調査すると、「今まで何十年も水にさらしていたけれど、やめてみたら何の支障もなかった」「むしろアク抜きしない方がナスが濃くて圧倒的に美味い」という実感が急速に広がっています。
大手レシピプラットフォームの投稿や料理系インフルエンサーの検証企画では、「水さらし派」と「直前カット即調理派」でブラインドテストを行った事例が多数報告されています。その結果、現代の市販ナスを使った炒め物において、試食者の9割以上が「水にさらさない方が旨味が強く、食感もジューシーである」と回答し、エグみを感知した人はゼロでした。
農研機構などの農業技術データが示す通り、昭和初期から中期に流通していた在来種のナスに比べ、現在の主力品種(千両二号や筑陽など)は品種改良によって渋み・苦味成分が極限まで低減されています。かつてアク抜きが必須とされたのは、当時の品種が持っていた強烈な灰汁(あく)を抜くための生活の知恵でした。品種そのものが劇的に進化しているにもかかわらず、調理マニュアルだけが半世紀前の常識で止まっていたという構造的ギャップが、ネット上での「アク抜き不要論」の火種となっているのです。