多くの人が「海苔があるのが『ざる』、ないのが『もり』」と理解している。確かに現代の一般的な蕎麦屋やファミリーレストランでは、その区別が主流だ。しかし、食文化史のページを巻き戻すと、元々の始まりは器の形状でもトッピングでもなかった。
もともと「もりそば」は、江戸時代中期に「ぶっかけそば」と区別するために生まれた言葉である。汁を直接かけるスタイルが流行した際、茹で上がった麺をセイロや器に「盛った」状態で出す従来のスタイルを「もり」と呼ぶようになった。これに対し、「ざるそば」はさらに後の時代、江戸の宝暦年間(1751〜1764年)に登場する高級アレンジメニューだったのだ。