身分制度の違いも極めて明快だ。警察官という一括りの言葉で呼ばれるものの、どこから給与が出ているかによって二つに分かれる。
警視庁に所属する大部分の捜査員や交番勤務の警察官は「地方公務員」である。彼らは都民の税金から給料を受け取り、東京都の公安委員会の管理下で日々現場の治安を守っている。採用試験も東京都が実施する警視庁独自の試験を通過してきた叩き上げの面々だ。
それに対して警察庁の職員は、国家公務員試験(総合職・一般職)を突破して採用された「国家公務員」だ。国の予算から給与が支払われ、国家公務員としての立場と責任を負う。ただし、警視庁などの現場警察組織においても、「警視正」以上の階級に昇進した幹部職員は、職務の公正性と国家的な統一性を保つため、地方公務員から国家公務員(いわゆる地方警務官)へと身分が切り替わる。この制度的仕掛けが、警察機構の複雑さを生み出している根源と言える。