田原健一のギタリストとしての評価は、一般的な「速弾きギタリスト」「テクニカル系プレイヤー」の物差しでは測ることができません。プロのスタジオミュージシャンや音楽プロデューサー陣が口を揃えて称賛するのは、その「引き算の美学」と「楽曲アレンジに溶け込む音色の構築力」です。
桜井和寿が紡ぎ出すメロディと歌詞を邪魔せず、かつ楽曲の情景を劇的に広げるアルペジオ、哀愁を帯びたスライドギター、楽曲の転換点で鳴らされるコードストロークのダイナミクスは唯一無二です。また、エレキギターのみならず、アコースティックギター、マンドリン、グロッケンシュピール(鉄琴)などを自在に操り、サウンドスケープを立体的に彩ります。
ライブツアーの現場で使用される機材には、長年愛用されているFenderカスタムショップ製のテレキャスターや、ギブソンのヴィンテージ・セミホロウギターES-335などが名を連ねます。アンプもMatchlessやVOX、Fenderなどの名機を駆使し、耳に痛くない、しかしバンドアンサンブルの中で埋もれない極上の音像を作り出しています。『Tomorrow never knows』のイントロで聴こえるアルペジオや、『名もなき詩』の間奏における切ないオブリガートは、まさに田原健一でなければ生み出せないサウンドの真骨頂です。