彼の生涯における最大のハマり役であり、宿命の役柄となったのが、作家・山崎豊子の不朽の名作『白い巨塔』に登場するなにわ大学医学部助教授、財前五郎だ。1966年の映画版で財前を演じた際、原作の精緻な心理描写を見事に体現した演技は、原作者である山崎豊子をして「財前五郎は彼以外に考えられない」と言わしめた。
そして1978年、フジテレビの連続ドラマとして再び財前役に挑む。自ら企画を持ち込み、並々ならぬ執念で実現させたこの連続医療ドラマで、彼は文字通り身を削るような演技を披露する。外科手術のシーンでの精密な手さばき、教授選を巡るドロドロとした政治工作で見せる冷徹な表情、そして病魔に侵されていく自らの肉体に対する恐れ。そのどれもが演技の域を超えた真実味を帯びていた。