粗悪品や性能偽装が横行した混乱期を教訓に、業界全体の信頼性を担保する防壁となったのが、公的な国家規格の制定だ。厚生労働省や経済産業省、そして業界団体である日本衛生材料工業連合会が連携し、2026年に制定された医療用マスク規格(JIS T 9001)は、今や国内調達における絶対条件として定着した。
PFE(微粒子捕集効率)やBFE(バクテリア飛沫捕集効率)、人工血液バリア性、さらには通気性を左右する圧損試験まで、厳格なクラス分類が定められた。医療機関の購買部門は現在、JIS適合マークのない製品を一括して調達リストから除外する方針を徹底している。
「安ければ何でもいい」という時代は終わった。日本衛生材料工業連合会の自主基準を満たし、JIS規格に裏打ちされたトレーサビリティを提示できるメーカーだけが、医療従事者の命を守る信頼を勝ち得ている。