今回の異常事態がこれまでの市場急変動と決定的に異なるのは、その「スピード」と「必然性の欠如」にある。取引開始からわずか3分12秒の間、主要株価指数と暗号資産、さらには商品先物市場のボラティリティ指数が同時に天を突くような跳ね上がりを見せた。
注文板には人間が目視で確認できない速度でミリ秒単位の板発注とキャンセルが繰り返され、取引所のマッチングエンジンは過去最高の負荷を記録。アルゴリズム同士が互いの気配値を参照し合い、螺旋状に異常値を増幅させる悪循環が瞬時に形成された。現場のトレーダーが手動で緊急停止ボタンを押した時には、すでに巨額の流動性が市場から消え去っていたのである。