警察と消防による合同実況見分が進む中、捜査の焦点は火元となった車両火災の直接的原因の解明に注がれている。エンジンルーム内の配線ショート、バッテリー周辺の電気的トラブル、あるいは車内に放置されたライターや電子機器の熱暴走など、出火の引き金は多岐にわたる。しかし専門家がより重く見ているのは、単独の火災がなぜ短時間でフロア全体を呑み込む規模にまで激甚化したかという点だ。
自走式の立体駐車場は排気ガスを外へ逃がすため、外壁の開口部が広い「オープン型」が主流となっている。この通気性の良さが、火災発生時には皮肉にも大量の酸素を供給し続ける巨大なフイゴとして機能してしまう。さらに近年の車両は軽量化のためにバンパーや内装材へ高分子プラスチックが多用されており、燃焼時の発熱量が極めて高い。ひとたび隣の車に火が移れば、猛烈な熱エネルギーの連鎖反応を食い止めることは不可能に近い。