言葉の正確さと受容者の心理に最も敏感な出版・メディア業界においても、この種の健康管理やリスク管理に関わる言葉選びは極めて厳密に扱われている。NHKのニュース報道や番組制作の現場では、視聴者に誤解や不快感を与えないよう、曖昧な慣用表現の言い回しについて常に検証が行われている。
NHK放送文化研究所が蓄積してきた放送用語調査や意識調査のデータを見ても、時代とともに「配慮の言葉」に対する受け止め方は大きく変容していることが分かる。かつては美徳とされた「少々の体調不良でも出社して責任を果たす」という価値観は完全に過去のものとなった。日本経済新聞のビジネス面をはじめとする経済報道でも、無理な出勤による生産性の低下、いわゆるプレゼンティーズムが企業の重大なリスクとして論じられる時代だ。正確で誠実な言葉で早期の休養を告げることこそが、現代の組織人にとっての最低限の規律と見なされている。