SNS上では、「全通(すべての公演に通うこと)してこそ真のファン」「CDを数百枚積まなければ愛が足りない」といった極端な言説が散見されます。しかし、現場の生の声を取材すると、こうした過剰な競争心や同調圧力がファンコミュニティ内部で深刻な「推し疲れ」を生み出している実態が浮き彫りになります。
ファンダム内のマウント合戦に疲弊した20代女性ファンは、「現場に行くたびに周りのグッズ所持数や課金額と自分を比べてしまい、純粋にライブを楽しめなくなっていた。推しの言葉よりもフォロワーの目を気にしていた」と語ります。過度な承認欲求や推しへの見返りを期待する心理は、結果として「これだけ尽くしたのに」という歪んだ執着を生み、突然の活動終了時に激しい怒りや裏切られた感覚へと反転するリスクを孕んでいます。
真に「推せる時に推す」とは、他者との比較や承認欲求から解き放たれ、自分自身の意志とリソースの範囲内で推しと向き合う行為に他なりません。