林家たい平の落語家としての最大の特異性は、武蔵野美術大学造形学部視覚伝達デザイン学科を卒業している点にあります。落語界において美大出身者は極めて珍しく、このバックボーンが高座での「情景描写の緻密さ」や「空間把握能力」に直結しています。
独演会で配布されるオリジナル手ぬぐいやポスターのイラスト、絵本の執筆、舞台装置のディレクションまで自ら手掛けるなど、視覚芸術の感性を落語と見事に融合させています。「古典落語の登場人物の衣装や長屋の空気感を、頭の中で精密にデッサンしながら語る」という独自の演出手法は、落語通からも高く評価されています。
また、彼の原点となっているのが実家のある埼玉県秩父市です。実家はかつて洋服仕立て店「テーラー田鹿」を営んでおり、職人気質の父と温かい母の元で育ちました。秩父夜祭への強い愛着や、2016年の『24時間テレビ』チャリティーマラソンで100.5kmを完走した際にも「秩父の自然と人々の声援が原動力だった」と語っています。