ペンギンの姿を思い浮かべたとき、大半の人が「黒い頭部に白いお腹」というタキシード姿を連想します。それにもかかわらず、ペンギン英語の語源と由来を遡ると、ケルト系言語であるウェールズ語の「pen(頭)」と「gwyn(白い)」が結合した「白い頭」という言葉に行き着きます。黒い頭の鳥が、なぜ「白い頭」と命名されたのでしょうか。
大英自然史博物館の記録や古生物学の文献が裏付ける真相は、かつて北半球の北大西洋に生息していた飛べない海鳥「オオウミガラス(Great Auk)」の存在です。オオウミガラスは目とくちばしの間に鮮やかな白い大きな斑紋を持っており、遠目から見ると頭部が白く際立っていました。16世紀の大西洋を航海していた船乗りたちは、この鳥をウェールズ語由来で「penguin」と呼んでいたのです。
その後、ヨーロッパの探検家たちが南半球に進出した際、外見や直立して歩く生態がオオウミガラスに酷似した未知の鳥たちに遭遇しました。当時の航海者たちは区別することなく、南半球の鳥たちも「penguin」と呼び始めました。悲劇的なことに、元祖ペンギンであったオオウミガラスは乱獲により1844年6月に完全に絶滅します。その結果、「penguin」という名前だけが南半球の鳥たちに引き継がれ、頭が黒いにもかかわらず「白い頭」を意味する名が現在に残ることになりました。