左耳の聴力を奪われたことは、堂本剛の音楽制作アプローチに劇的な転換をもたらしました。以前のように耳先の感覚だけに頼る歌唱法から、「全身の骨や皮膚でグルーヴを感じ取る」独自の身体的アプローチへの移行です。
特にソロプロジェクト「.ENDRECHERI.(エンドリケリー)」におけるファンクミュージックの探求は、後遺症との闘いの中でさらなる深化を遂げました。低音が耳に直接干渉して割れてしまう現象を逆手に取り、シンセベースの周波数帯をミリ単位で調整したり、視覚的な波形モニターを活用しながらDTM(デスクトップミュージック)でのトラックメイキングを極めました。
KinKi Kidsのボーカルワークにおいても、堂本光一とのハーモニーを右耳の聴力と長年の阿吽の呼吸で完璧に合わせる技術を磨き上げました。逆境を言い訳にせず、表現の制約を「新しい個性」へと転換させたそのパフォーマンスは、国内外のミュージシャンからも極めて高い評価を得ています。