愛好家も多い名作ラインであるにもかかわらず、ノリタケ廃盤の理由には日本の住環境と消費構造の劇的な変化が横たわっています。陶磁器業界の流通データやライフスタイルの変遷を辿ると、主に3つの構造要因が浮かび上がります。
第一に、日本の食卓における「和食器からワンプレート・洋食器」へのシフトです。かつてのように冠婚葬祭や正月、来客時に家族総出で銘々皿や蓋付き湯呑みを用いる風習が薄れ、日常的に食洗機や電子レンジに対応する洋食器が主流となりました。第二に、百貨店を中心とする「ギフト市場の縮小」です。贈答文化の衰退に伴い、桐箱入りの高級和食器セットの需要は大幅に落ち込みました。
そして第三に、ノリタケグループ全体の事業構造改革が挙げられます。同社は食器製造で培った高度なセラミック技術を、半導体関連の電子ペースト、研削・研磨工具、環境エネルギー分野などの先端産業資材へと多角化させていきました。収益構造の見直しとコア事業への集中が進む中で、採算の厳しくなった国内向け和食器ラインの生産終了が決断されたという経緯が存在します。