2014年11月に前編『寄生獣』、2015年4月に後編『寄生獣 完結編』が全国東宝系で公開された実写プロジェクト。総製作費数十億円規模、興行収入は2部作合計で35億円超を記録した本作において、キャスティングは極めて慎重に進められました。メガホンを取った山崎貴監督と脚本の古沢良太が直面した最大の課題は、全10巻に及ぶ濃密な原作エピソードを約4時間半の尺へと凝縮することでした。
映画化にあたり、原作に登場したもう一人の主要ヒロイン・君嶋加奈の役割やエピソードの一部は、村野里美というキャラクターへ統合・再編成されることになります。つまり、実写版の村野里美には「日常を守る普通の女子高生」という受動的な枠組みを超えて、日常と非日常の狭間で葛藤する新一を精神的に牽引する、極めて能動的でタフな存在感が求められたのです。
この重責を担う存在として白羽の矢が立ったのが、当時すでに『告白』(2010年)のミステリアスな学級委員役や、『桐島、部活やめるってよ』(2012年)での圧倒的な透明感、NHK連続テレビ小説『あまちゃん』(2013年)の足立ユイ役で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞し、時代の寵児となっていた橋本愛でした。山崎監督が求めたのは、単に守られるだけの甘いヒロインではなく、「新一の瞳の奥にある変化を見抜き、真っ向から対峙できる強い眼差し」でした。天才子役から若き名優へと羽ばたいていた染谷将太との共演は、まさに邦画界の次世代を担う実力派同士の真剣勝負として映画関係者の間で大きな注目を集めました。