日本における刺繍ユニフォームの発展を語る上で避けて通れないのが、スポーツファンやカルチャーシーンにおける独自の発達だ。特にプロ野球のスタンドを埋め尽くす「痛ユニ」や「応援ユニフォーム」と呼ばれるカスタムウェアは、世界的にも稀有な熱量を持つ。
ファンは愛する選手への情熱を表現するため、背番号の周りに選手への応援歌、直筆サインの再現、鮮やかな龍や桜のモチーフを隙間なく刺繍する。この文化の根底には、日本の伝統的な刺しゅう技術や祭りの法被(はっぴ)、特攻服に見られる「文字を纏う(まとう)」という精神性が息づいている。