九鬼和子のプロフィールを単なる肩書きや会社の沿革として語ることには限界がある。彼女を理解するには、下着に対する哲学的なスタンスに目を向ける必要がある。補整下着というカテゴリーは、ともすると「体を矯正する」という強制的なイメージで語られがちだ。しかし九鬼和子が追い求めてきたのは、矯正ではなく「本来の体の美しさを引き出すサポート」だ。
正しく体に合った下着を着けること——これは美容や健康の観点からも重要な習慣だが、日本ではまだまだ意識が浅い。九鬼和子はその啓蒙者として、デザイナーとしての枠を超えた役割を担ってきた。フィッティングの場では単に採寸するだけでなく、体の状態を観察し、姿勢や重心のバランスまでを視野に入れた提案を行うという。