この狂騒曲を、生産者たちは冷ややかな目で見つめているわけではない。千葉県の養豚農家は、これまでの「赤身の多さ」を重視する品種改良から、あえて「上質で厚みのある背脂」を蓄える豚の飼育へと舵を切った。特定のハーブや米ぬかを配合した飼料を与えることで、融点が低く、サラリとした甘みのある脂を作り出すことに成功している。
しかし、こうしたブランド化に成功するのは一部の資金力ある大規模農家に限られる。多くの小規模農家は、高騰する電気代や人件費の波にのまれ、廃業の選択を迫られている。背脂がいくら高値で取引されようとも、その恩恵が生産現場の末端まで行き渡っているとは言い難いのが実情だ。